X-RAY STRESS · SIGNAL PROCESSING
応力を、信号から取り出す。
傾ける。対向差分をとる。1次成分を抽出する。
条件を動かして、信号と誤差の変化を確かめる。
360°・360点の合成ひずみ信号
入射角 ψ₀ と環上の角度 α を区別して表示
SIGNAL COMPARISON
4つの信号を、同じ目盛りで。
02 対向差分
[ε(α) − ε(α + 180°)] / 203 抽出された1次成分
â cos α + b̂ sin α04 残差
D(α) − 抽出1次縦軸:ひずみ με / 横軸:環上の角度 α(0–360°)。点線は合成データの真値です。除外区間は薄い灰色で表示します。
WHAT PASSES THROUGH?
どの次数が残るか。
PHASE & BASIS
信号と基底の位置関係。
α の原点の変更は同じ信号の表し方を変えます。cos・sin の両係数を戻せば応力推定は変わりません。
DIRECTION & RELATIVE ERROR
方向を変えると、相対誤差は?
方向ごとの応力 MPa
垂直応力の相対誤差 %
全周・等間隔・独立で同じ分散の加法ノイズでは、cos・sin 係数の絶対標準誤差は信号の位相に依存しません。相対誤差は分母の応力値が小さいほど増加します。主応力方向では τφ = 0 となるため、せん断応力の相対誤差は定義できません。各点の信号が0に近いことと、全周から求める係数の精度は区別して確認します。
同じ乱数列・妨害信号で方向だけを変更。グラフの相対誤差は200%で表示上限とし、真値0の点は線を切ります。
計算式と、この実験で確認できること +
入射角による応力信号の変化
平面応力・等方弾性・均一応力を仮定し、回折方向のひずみ式を α で展開します。法線入射(ψ₀ = 0°)では応力由来の方向変化は2次成分として現れます。傾斜入射では1次成分が現れ、0次・2次成分も残ります。ここでは、この角度依存を「投射」として確認できます。
b₁ = q τφ sin ψ₀ sin(2η)
a₂ = q sin²η (σφ cos²ψ₀ − σφ+90°) / 2
b₂ = −q τφ cos ψ₀ sin²η
q = (1 + ν)/E。表示では με に換算。例示定数:E = 210 GPa、ν = 0.28、2θ = 156.4°(η = 11.8°)。特定材料の校正値としては扱いません。入射角は試料法線からの角度、φ は試料面内の測定方向、α は回折環上の角度です。
対向差分は、奇数次を残す
D = Σk:奇数 [ak cos kα + bk sin kα]
0次とすべての偶数次は相殺され、1・3・5…次は残ります。1次だけを選択するフィルタではありません。
最小二乗と残差
r(α) = D(α) − â cos α − b̂ sin α
全周等間隔では異なる整数次数が直交するため、奇数高調波は1次係数に混ざりません。区間除外を行うと直交性が変わり、混ざる場合があります。応力以外の1次は応力の1次と同じ基底に重なるため、この演算だけでは分離できません。残差が小さくても応力が正しいとは限りません。
誤差の定義
応力の相対誤差は |推定値 − 真値| / |真値|、各点の相対誤差は |抽出1次 − 応力由来の1次| / |応力由来の1次| です。分母が0のときは未定義として「—」を表示します。表示する標準誤差は入力ノイズのみの1σで、妨害成分による偏りを含みません。対向差分の反対側の点は同じ情報なので、180個の独立な対を用いて分散を計算します。
MSCRへのつながり
τ(φ) = −A sin 2φ + B cos 2φ
抽出した垂直応力とせん断応力を多方向で求めると、σ–τ平面で応力状態の整合性を確認できます。この最小版では、その前段の信号抽出と方向による誤差までを操作します。実測データから妨害成分の原因を判定する機能は含みません。
式の参照資料
田中啓介:The cos α method for X-ray residual stress measurement using two-dimensional detector(2019) — 式(5), (6), (14), (17)の回折ひずみ・角度依存を使用。次数への展開はその式から計算しています。
Miyazaki & Sasaki:A comparison of X-ray stress measurement methods based on the fundamental equation — 回折方向と最小二乗による応力推定・誤差評価。